デザイナーの立場から言えば、書籍のデザインは1册全体を、
統一した視覚イメージでまとめ、しっかりとした
造本設計のものを読者に提供したいものです。しかし、現実には予算や時間の関係から、その部分(カバーデザインのみ、あるいは本文フォーマットのみなど)のデザイン依頼がほとんどです。
装幀といった場合は一般に、函から扉までの用紙、材料、製本様式、印刷方式などを選択し、統一したデザインで書籍の形態にまとめること指します。
●カバー(ジャケット)
現在では本の顔となるもので、中身を的確に表現し、書店においては購読者の注意をひきつけ、読者の書棚に長年あっても飽きを感じさせないものが欲しいと思います。
書籍デザインの重要な部分を占めます。表表紙、裏表紙、背、そでを統一イメージでまとめます。
視覚的な面と共に読者の手触り(触感)にも訴えるもので、紙質や加工方法にも注意が必要となります。
文字(書名、著者名、出版社名、定価)
写真、イラスト、図版
印刷(方式、色数)
紙質(四六判で100〜130kg)
加工(PP、ニス引き)
●帯
カバーに入らない本文解説や広告文を入れ、書店での広告効果を高めるものです。かつては編集者が制作するケースがほとんどでしたが、カバーデザインとの関連でデザイナーへの依頼も増えています。
文字
印刷(方式、色数1〜2色)
紙質(四六判で100〜130kg)
●表紙
本来は本文をカバー(保護)するもので、長期保存に耐えられるようにする。上製本(ハードカバー)の場合は、平部分には何も入れないケースが多い。並製本の場合は、カバー(ジャケット)がつく場合は1色で文字のみ、カバーなしの場合は、カバーデザイン同様に本の顔となります。
○上製本
文字(書名、著者名、出版社名)
印刷(方式、箔押し、色数)
クロス(紙=100〜130kg、布)
背(ホローバック、タイトバック)
○並製本
文字(書名、著者名、出版社名、定価)
写真、イラスト、図版
印刷(方式、色数)
紙質(四六判で170〜220kg)
加工(PP、ニス引き)
(本の判型は本文の大きさで言われ、上製の場合はチリや背の部分を計算した大きさで、表紙やカバーを考えます)
●見返し
表紙と本文を連結するもので、丈夫な紙を選びます。視覚的には表紙から中身への導入として装飾的な意味を持ち、ファンシーペーパーのような触感や模様のある紙を選ぶケースが多いようです。印刷するケースは少ないが、ものによりデータ的なものや、1色の写真を印刷する場合もあります。
紙質(四六判で70〜110kg)
印刷(方式、色数)
●扉
本文部分の顔にあたり、長期保存を考えると本文共紙で、遊び紙、前扉、本扉の構成が理想ではある。現実にはファンシーペーパーや多色刷りの別丁扉がほとんどです。
文字(書名、著者名、出版社名)
写真、イラスト、図版
印刷(方式、色数)
紙質(四六判で70〜100kg)
●花ぎれ(ヘドバン)、しおり(スピン)