名称はともかく覚えるしかありません。これも各出版社や編集部、プロダクションでさまざまです。
たとえば台割のことを「ふんどし」や、シャレて「メニュー」と呼ぶ編集部もあります。基本的な意味さえ理解すれば、どのような場所に行っても「ああ、台割のことか」と理解できますが、単語としてだけの記憶では事故にもつながります。 広告業界や出版業界のように業界が違えばやむを |
えないかも知れませんが、同じ出版社の中でも、編集部により慣習で使用しているため、一般化していない用語を使っている人の多いのには驚きます。
はじめての仕事の場合、おやっと思ったら「○○のことですね」と聞き返す癖をつけましょう。多くの人と作業する編集現場では名称はコミュニケーションの基本です。 |
図のように雑誌などを開いた状態を「見開き」と呼びます。記事がはじまるページを「起し」と呼びます。つまりこの図のような状態で記事がはじまることを「見開き起し」、「見開で起す」と言います。縦組みの雑誌で左ページ(横組の雑誌では右ページ)から記事をはじめるのを「片起し」と呼びます。
誌面の上を「天」、下を「地」、左右を「小口」と呼びます。もとは裁断した面を小口と呼んでいま |
した。
そのため天を「天の小口」、地を「地の小口」、左右を「前小口」とも呼びます。地はもう一つ「ケシタ」と言う呼称もあります。これは活版組の時代、本文版面を罫(けい=線のことです)で囲ってコラムなどを作っていた名残(失礼。いまも活版組はありますし、編集やデザインの概念は活版組抜きには語れないのですが……)でその罫の下で「罫下(=ケシタ)」となりました。 |
タイトルはそのまま記事の大見出しです。本文内容を何のひねりもなく、そのままタイトルに使用しているケースによく出会いますが、具体的な本文内容の説明はサブタイトル(袖見出し)に委ねましょう。(あくまで記事にもよりますが)タイトル(大見出し)は広告でのキャッチコピーにあたります。「おやっ」と思わせ本文まで読ませてしまう工夫がなされているものがタイトルです。
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忙しい現代人は、購入した雑誌の最初から最後まで読んではくれません。生真面目でストレートなタイトルでは読者の目をとどめることはことはできません。起しページのデザイン、タイトルつけは編集の中では最も重要な作業です。
リード(前文)は本文を要約した200から300字程度のの文章です。 |
本文は「ほんもん」と読みます。記事の中心となる中味のの文章です。一般的には12〜14級(級は印刷文字の大きさを表す単位です)を使います。
中見出しは、編集部によっては、2段通し(2段の本文組にまたがった)以上を「中見出し」、1段は「小見出し」と分類しているところもありますが、とりあえず本文の中にある見出しです。 |
中見出し以降の本文内容からつけられます。段の最後に中見出しが来ることはあってはなりません。段末禁止です。できれば中見出しの後は3行くらいは本文を入れるようにします。
中見出しは、文章上の整理の意味もありますが、雑誌の場合は、読者に飽きを感じさせないための誌面アクセント的な意味もあります。 |
柱は、起しページ以外のページを開いても、その記事が何のことが書かれているかを教えてくれます。ページの検索機能を持っています。オーソドックスには見開き左上ですが、ここでないといけない訳ではありませんが、検索機能を考えた場合、左上が一番、目につきます。
キャプションは、写真やイラスト、図版などの説 |
明文です。本文より 1〜2 級小さめの文字を使います。新聞社では「絵とき」、編集プロダクションによっては「ネーム」と呼ぶところもあります。(「ネーム」の呼称は、印刷所では写植印字や入力される原稿全体を指す場合が多く、注意しましょう)
ページ数のことをノンブルと呼びます。ノンブルを表示しないことを「隠しノンブル」呼びます。 |
版面は「はんづら」または「はんめん」と読みます。本文の基本組が組版されるフォーマット上のスペースを指します。
一般に版面とだけ言っていますが、活版時代の名残です。活版では版面をチェースと呼ばれる金属の枠で囲み、文字印刷が可能なスペースと定義していました。オフセット印刷では、本の仕上がりから3ミリ外(製版線)までが版面となります。視覚的な見えとしてとらえるか、組版上の定義としてとらえる |
か、ですが、印刷所との混乱を避けるためには「本文版面」「製版面」と区別したほうが良いでしょう。
この本文版面をどのように設定するかで、読者に与える雑誌全体の視覚的なイメージの6 割は決まってしまうと言っても過言ではないでしょう。天のアキ(天の仕上がりから本文版面まで)、小口のアキ、ノドのアキ、地のアキの設定はエディトリアルデザイナーにとっては腕の見せ所です。 |
見本の図は3段組レイアウト見本です。「段間」はその名のとおり段と段の間のことです。この段間に入るケイ(線)のことを「段間ケイ」と呼びます。
「行間」は行と行の間です。 この行間のアキの設定は、可読性にも影響を与えるためデザイナーの悩みの種ではあります。雑誌の |
場合の本文の行間のアキは、二分(1文字の半分)から二分四分(二分+四分=1文字の4分の3)までを原則としましょう。字詰め(1行の文字数)との関係で決めます。少ない字詰めの場合は狭く、多い場合は広くが原則です。
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