デザイン
 「ページ印刷物を制作する」とかかげて、その章だてを「はじめに」「デザイン」「制作と管理」としたことを少しばかり悩んでいます。どこまでをデザインに、どこからを制作技術として扱えばよいものか。かつての教育機関的な分類では「編集」「デザイン」「印刷」の三者の職能的な分業協力関係を解説することがほとんどでした。
 もちろん今でも、この三者の関係の上でページ印刷物が制作されてはいるのですが、今一つ臨場感がありません。三者がオーバーラップした状態がしばらく続き、いつの間にかその中でデザインが突出してしまっているのが現在のような気がします。ただし、ここで言う「デザイン」は、視覚的なものの見
方、考え方のことであって、職能的なデザイナーの作業のことではありません。見渡したところ職能としてのデザイナーはむしろ閉塞的な状態ではないでしょうか。
 気を持ち直してデザイン。エディトリアルデザイン、レイアウト、ブックデザインなどと呼び名はさまざまですが、デザインです。形のないものに形(本の形・雑誌の形)を与えてゆくことです。問題はその方向性です。むつかしく考えるのはやめましょう。形のないものを視覚的な面で整理し、本の形・雑誌の形にしてゆくことです。その目的は、読者に読んでもらう、見てもらう、手に取ってもらうためです。

 
デザインは 視覚的な整理です。

●著者から上がったワープロ打ちの原稿。このままでは読者に読む意欲はおきません。

(多くのホームページの文字組はこのレベルです。字詰めの長さの割に行間が狭い。とても他人に読んでもらうという姿勢に欠けます。欧文と和文、基本的な文字の作りの違いで、やむをえないとも言い切れません。 行間を空けるタグがあります。<div style="line-height:20pt">本文</div>(行送り20ポイントです)使ってみてください)


   
基本フォーマット(字詰、行間、版面などの設定)による組版。まずは基本フォーマットに忠実にレイアウトしてみる。これが、視覚編集の第一歩。

この基本フォーマットが各雑誌で使っているレイアウト用紙です。本文版面のイメージ、本文の読みやすさなどを考慮したものです。まったくの新人がレイアウトしても、最低限の組版の基本は押さえられます。


   
●同じ基本フォーマットを使用し、視覚編集を考慮に入れたレイアウトの例。簡単な味付けと整理で読者は一目で記事の内容が理解できます。

   
図版は記事内容の理解には欠かせません。他にもいくつかの視覚的なアクセントを加えることで、読者の目を引きつけます。