文字
 ページ印刷物をデザインする場合、印刷文字に関しての興味と最低限の知識は必要です。
 印刷文字は総称して「活字」と呼ばれていますが、実際には金属の活字は、現在ではほとんど使われていません。活字に代わり、写真の原理を利用した写植や、コンピュータを使った電子文字(デジタ
ルフォント)が印刷文字の主流となっています。CTSや電算植字やDTP などはコード化された電子文字を使った組版です。
 文字の字種は何であれ、印刷物となったときの組版の見えに違いはありません。まずは、組版の原理を理解しましょう。

活字写真 左は初号(42ポ)活字と6ポ活字。右は電算写植で出力された、棒組みの写植印画紙。かつてはこの印画紙を切り貼りして版下台紙を制作していた。


 
組版の原理を理解する

 組版は6つの項目から成り立っています。
 まずは。縦に組むか横に組むかです。いま読んでいるこの記事は横組です。
ポイントと級 つぎに、文字の大きさです。この項目の物差しは 2 種類あります。ポイント(ポ、P)と級(Q)です。つまり活字を基盤にしているか、写植を基盤にしているかの違いです。これは単に印刷所の持っている機械の違いです。作業前に印刷所と打ち合わせしましょう。一般に本文は12級から14級が使われています。活字では 8 ポイントから10ポイントです。
 写植は日本で開発されました。そのためメートル法を基準にし、1級を4分の1ミリときめられています。級数を 4 で割ればミリになります。12級の文字は3ミリ幅の大きさで、スペースが身近にある物差しで割り出せます。ポイントはそれ専用の物差しが必要ですが、級もポイントも組版用の組見本があるので、この組見本からスペースを割り出すことができます。
 3つ目の項目は書体です。明朝体、ゴシック体などで、印刷所の書体見本帳の中から選びます。本文は明朝体がよく使われます。
 4つ目は字送りです。その文字の大きさと同じ字送り(12級のとき12歯)をベタと言います。市販雑誌では活字のイメージを出すため1歯詰(12級で字送り11歯)がよく使われています。
 5つ目は字詰です。1行に何文字入れるかです。雑誌の場合は15字から25字詰程度が一般的です。
 最後は行間のアキです。行間の指定も級とポイントがありますが、多くの場合、文字の頭から次の行の頭までの行送りで指定します。わずかですが、活字指定を踏襲した行間のアキ指定の方が操作しやすい組版機械もあります。級を使う場合の行送りは歯(H)を使いますが、歯と級は大きさは同じで、例えば20歯は5ミリとなります。
 もう一度整理してみましょう。
 1 組(縦組、横組) 
 2 文字の大きさ(級、Q)
 3 書体 
 4 字送り(歯、H)
 5 字詰
 6 行間のアキ(行送り=歯、H)

 例えば
 横組、13級、LリュウミンL-KL、字送り12歯
 21字詰、行送り21歯

 
組版の原理

組版(文字組)の原理
例えば左のような10行の横幅は、行送り×9+級数を4で割ってやればミリ数がでます。行送りや行間は行数より1つ少ない。

行送りは原理的には1文字+行間ですが、写植機では文字のセンターからセンターまで、Macintoshではベースラインからベースラインまでとなります。異級数(文字の大きさが違う)の場合、注意しましょう。



 ●文字指定のウルトラC
 ここでもう一つ、専門的な級やポイントなど知らなくても、印刷物として読みやすいものができれば良いという原則に立ってみましょう。仕上がりをイメージさえできれば、そのイメージをDTP担当者に提示すればよいのです。これは外部のデザイナーやプロダクションに依頼する場合には特に必要なことです。
 こんな誌面にしたいなと思う市販雑誌や印刷物は身の回りに沢山あります。誌面全体のレイアウトイメージはもちろんですが、組版のみをみても参考になります。この字組は読みやすそうだな、と思えばその印刷物を切り取って、これと同じ字組でと原稿に付けて渡せば、DTP担当者で割り出して同じ体裁で組版してくれます。
 以上のように指定方法はさまざまですが、実際には本文に関して言えば、デザイナーと相談してレイアウト用紙という設計図の台紙にあたるものを作成すればラフ作りでのスペース出しも簡単な作業になります。
          
 本文書体の選定については、最近の雑誌をみると、やや太すぎる傾向にあります。本文書体の太さは、L(ライト=細) から M (メデューム=中)程度で選ぶようにしましょう。B(ボールド)以上では画数の多い文字は潰れてしまい、識別が苦しくなり読者は疲労を感じてしまいます。素人の方は太い書体が見た目にガッシリしていて読みやすく感じてしまうようです。本当に読者のことを思うなら、自分自身がきちんと読みやすさの基準を持つようにしましょう。


 
つぎは 書体とタイトルの詰について 
 
 
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