●指定とは
ここでは
レイアウト指定紙の作成、 文章原稿の指定、 製版原稿(写真)の指定 を解説します。この3種類のものを入稿原稿類と呼びます。この3種類のものが指定も終わり、きちんとセットされていて、はじめて印刷所入稿となります。 指定は、目の前にいない人に、こちらの意図を伝えるコミュニケーションの手段です。 正確な指定ができないと、こちらのイメージしたようには印刷物はあがりません。より良い指定紙作成には、いかに相手を具体的にイメージできるかにかかります。そのためには次の工程でなにをするの |
かという制作システムへの理解が必要です。
もうひとつは、相手の立場になることです。自分が仮にこの原稿をもらったら仕事をする気になるか、作業をすることができるか、とイメージできればしめたものです。 相手の立場になることができない人が、けっこう多くなっているように感じます。つまりイメージが貧困な人が年々増えています。DTPの普及で仕上がりをイメージする必要が無くなりました。画面で仕上がりが確認できるわけですから。そして今まで他人にお願いしていた、いくつかの工程を自分たちの空間へ持ち込み、指定というコミュニケーション手段も減ってきています。 便利なものではありますが、怖い気もします。 |
読者に興味を持たせ、読んでもらうためには企画段階からの視覚イメージを意識した編集作業が必要です。文章原稿の分量とその他の視覚材料のスペース的な関係を考えながら、台割を作ります。
ページをめくったときの視覚イメージの変化も必要です。見開き丸々本文では読者は読む意欲を無くしてしまいます。 著者やライターへの原稿依頼は台割決定後に、視覚材料のスペースを考慮して行ないます。 |
文章原稿がアップすれば、編集者は原稿整理にかかります。用字・用語や表記などの整理・統一をしつつ、原稿整理記号を入れます。(依頼原稿の場合は執筆依頼時に、その雑誌としての表記一覧表などを添付するのが望ましい)
イラスト、写真などの視覚材料の手配も編集者の仕事です。(イラスト・図版原稿に関しては、レイアウト指定紙完成後に、レイアウト担当者が依頼するケースも増えています) |
分業化している場合は、ここからがレイアウト担当者の作業です。
まず原稿を読み内容を理解します。 次に行数の確認です。決定した字詰めで、1行ごと/を黒あるいは青鉛筆で入れていき、本文の総行数を出します。(執筆依頼時に字詰めが確定していたら、○字×○行のように、その字詰めでの依頼が望ましい)行数のチェック時には組版ルール、特に禁則には注意しましょう。 |
ラフスケッチを描きます。写真は拡大・縮小できますが、本文は物理的なスペースが必要です。まず、全レイアウトスペース中、本文のスペースがどの位になるかを確認し、(企画時のレビューを参考にしながら)フリーハンドのミニラフを何点も描きます。(時間があれば原寸ラフも描いてみましょう)
●誌面の重心は中心よりやや上に。 ●写真の絵柄の方向は記事中に向けて。 ●写真の大小で誌面にメリハリをつける。 |
●文章の流れ
赤線で示したのが、基本的な文
章の流れです。写真は見開きで扱
いますが、文章は1頁単位で扱う
のが原則です。誌面のバランスも
重要ですが、まずは、文章の流れ
が自然であることです。
中見出しは、その場所以後の記事内容からつけられます。そのた
め中見出し前(右側)で前の記事は終ります。左のコラムタイトル
は記事全体のタイトルですから、タイトルをまたいで記事は流れます。
×このようなレイアウトはしない
1 中見出しの後の本文は、段末までに最低3行は入れるよう
にしましょう。ましてや2のように1行も本文が入らない扱いは、
あってはならないことです。
本文途中に入る2段通しの写真
やイラストは、誌面バランスだけ
ではなく文章の流れにも注意しま
す。
3 2枚の写真が誌面を分断してい
るため、このブロックが離れ小島
となっています。文章は自然に流
れるように。
いよいよレイアウト指定です。台割を確認し、レイアウト指定紙の上部に頁数を赤で書きます。
次ページからの作業を進めます。