3―●製版原稿類の指定

写真の指定
 写真のレイアウト指定には次の3つの方法があります。
1. レイアウト指定紙上の対角線を写真原稿上のトレシングペーパー(以下トレペと略す)に取り、寸法を表記する。
2. レイアウト指定紙上の写真スペースに、トレスコープや引伸し機で絵柄をトレースする。
3. レイアウト指定紙上の写真スペースに、仕上がり原寸のコピーを貼り込む。
 2・3の方法は仕上がりのイメージがつかみ易いというメリットがありますが、トレスコープやコピー機などの機材が必要です。
 1の方法は仕上がりのイメージは、つかみにくいが、トレペさえあれば、どのような場所でも写真の指定が可能です。また、この方法は写真原稿にもトリミング情報を表記しますので、写真原稿だけで製版を先行させることもできます。
 まずは、1の方法を理解してください。



写真の指定例

●レイアウト指定紙 1. 原稿の比例を考えながらレイアウト指定紙上に写真のワクを作図し、対角線を入れます。――●黒
2. レイアウト指定紙上の寸法を天地○ミリ、左右○ミリと表記します。――●赤
3. 合い番号を表記します。――●赤
(写真を裁ち切りで使用する場合、対角線は製版線まで引き、製版線までの寸法を表記します)
●写真原稿(紙焼) 1. トレペをかけ、必要な部分にトリミングの角を作図(2本の直角に交わる線を引く)します。――●黒
2. トレペを外して、レイアウト指定紙上の角にトレペ上の角を合わせ、その角から出た対角線をトレペ上に移します。――●黒
3. トレペを写真上に戻し、レイアウト指定紙から移した対角線上にトリミングを考えながら対向の角を
取り、トリミングのワクを完成させます。――●黒
(トレペの対角線上なら、どの位置に対向の角を取っても、レイアウト指定紙上の写真スペースとトレペ上のワクは相似形になります。下の絵柄を見ながらトリミングのワクを決めてください)
4. トリミングを正確にするため、トレペ上に大まかな絵柄をトレースします。――●黒
5. 不要部分に斜線を入れます。――●赤
6. 天地・左右を矢印で指示し、レイアウト指定紙上の寸法と頁数、合い番号を表記します。――●赤

(対角線、指定などは原稿にキズをつけないようにトレペを外して書き込みます。4. のトレペ上でのトレースは、間に級数表などを入れて原稿にキズをつけないように特に注意をしてください)


 上の方法は写真をトリミングする場合です。ノートリミングの場合は、これと逆の方法で作業をします。
 まず、写真原稿のトレペ上に写真いっぱいのノートリのワクを取り、対角線を引きます。
 次にレイアウト指定紙上に2本の直角に交わる線を引きます。この角にトレペ上のワクの角を合わせ、この角から出た対角線をレイアウト指定紙上に取ります。後は、この対角線上に対向の角をきめれば写真のスペースができます。
 画集や、写真集などのトリミングができない原稿ではこの方法を使います。



●その他の写真原稿の指定
 写真原稿は大別すると、反射原稿と透過原稿に分けられます。紙焼の写真は反射原稿です。透過原稿はスライド映写用のポジフィルムです(リバーサルフィルムと呼ばれます)。最近のカラーの印刷物では、このリバーサルフィルムが原稿として使われています。リバーサルフィルムには35mm、6×7(ロクナナ)、4"×5"(シノゴ)などがあります。
 リバーサルフィルムは1点ごと透明のネガ袋に入れ
て作業します。ダーマトグラフィーと呼ばれる油性の鉛筆で、頁数、合い番号をネガ袋に表記します。――●赤
 絵柄のトリミング比例を考えながら、レイアウト指定紙上に写真スペースを作図します。――●黒
 この写真スペースに、トレスコープや引伸し機でトリミングしたい絵柄の部分を正確にトレースします。――●黒

ポジ写真の指定例


 
図版原稿の指定

 厚手のケント紙などに描かれたイラストやグラフなどの版下を図版原稿と呼びます。
 図版原稿の指定も写真原稿と同様にトレペをかけ、頁数、合い番号を表記します。レイアウト指定紙上での指定も写真の指定1の方法でも、3 の仕上り原寸のコピーを貼る方法でもかまいません。

 図版原稿内の製版指定(網指定)は、1の方法では、原稿のトレペ上に製版指定をします。3の方法では、レイアウト指定紙上に、他の製版指定と同様に指定します。最近では組版工程で、線画原稿を台紙貼りするケースが増えていますので、レイアウト指定紙上での指定が一般的だと言えます。

図版の指定例  図版の仕上がり

 
 次はレイアウト指定紙上での製版指定
 

 
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